日本で唯一の光景を。
「ツイン観覧車」という衝撃のアイデアを生んだ、
よみうりランドの遊び心と安全へのこだわり。

October 24, 2024

よみうりランドの開園60周年を記念して、2024年10月24日に新たな観覧車「Sky-Go-LAND(スカイゴーランド)」がオープンした。40年以上にわたって親しまれてきた「大観覧車」の営業が2025年1月13日に終了するまで、日本で唯一の「ツイン観覧車」というユニークな風景に出会うことができる。並び立つ2つの観覧車の同時営業という衝撃的なアイデア実現の陰には、整備・運営担当の従業員たちの尽力があった。

担当者紹介

Kさん/遊園地事業部 次長
入社以来、安全管理部門の担当者としてメンテナンスに携わったのち、運営全般の業務に関わるように。ツイン観覧車の計画立案、仕様策定、行政への許認可申請関係を取り仕切った。

Tさん/遊園地事業部 安全管理課 課長補佐
メンテナンス担当として入社。その後、工事の計画や点検整備の状況把握などの業務を手掛ける。Sky-Go-LANDの設置および大観覧車の解体担当者。

Sさん/遊園地事業部 安全管理課
入社以来、メンテナンス担当として日々、遊戯機に向き合う。大観覧車はもちろん、Sky-Go-LANDのメンテナンスも担当。

Aさん/遊園地事業部 遊戯機運営課
入社以来、オペレーターとしてお客様の案内や遊戯機の運行などの運営業務に携わる。運行管理者として従業員の教育指導等を担当。

なぜ、よみうりランドにツイン観覧車が生まれたのか?

Kさん:最初にツイン観覧車の話を聞いた時、みんなはどう思った?

Tさん:遊戯機を新しくする時は、古い方は営業やめるのが普通ですよね。そこをツインにしちゃおう!というのは、役員の一言から始まったことだと聞いています。正直、現場の社員の目線で言えば、最初の気持ちは「まじか」だったかもしれない(笑)。

Sさん:そうですね。話が出た当時もツイン観覧車っていうのは日本になかったし、つまりそれぐらい大変なことだというのは、やる前から想像がついていましたからね(笑)。

Aさん:私も、観覧車が2つあったら、混んでいるときはどれぐらい大変になるんだろう…!と想像しました。けどシンプルにワクワクもしたんです。

Sさん:自分も。絶対大変なんだけど、面白そうだなと思いました。

Kさん:最初から大変だってわかっている突飛な発想を、でも面白そうだからやってみよう!ってなるのが、「遊びを、まん中に。」を掲げているよみうりランドらしいというか。まさしくよみうりランドの遊び心を具現化した試みだよね。

Tさん:そうですね。それに、かなりチャレンジングな計画だったけど、途中で頓挫してしまうこともなく、実現までこぎつけられたのは結局、みんな「遊び」が好きだからかと思います。

Kさん:うんうん。誰かの遊び心にみんなが乗っかっていく感じですよね。あとは、「観覧車」という、遊園地の象徴的な遊戯機だからこそ、っていうのもあったかもしれない。

Sさん:確かに。観覧車だからこそ、開園60周年を祝うにふさわしい計画という感じもしますしね。

Kさん:やっぱり観覧車って遊園地にとって特別な遊戯機だよね。みんなにとっての観覧車はどんな存在ですか?

Tさん:メンテナンスという立場で言えば、「いい子」。開園している間に、観覧車を機械的なトラブルで長時間止めたことがないから。

Sさん:確かに、私も観覧車の機械トラブルは見たことがないですね。

Tさん:止まることがないよう、普段から先回りして色んな工夫をしながらメンテナンスをしています。そして観覧車ってそれにちゃんと応えてくれるんですよね。だからメンテナンス目線だと、手をかけてはいるんだけど、手がかからない、いい子っていう感じ(笑)。

Aさん:オペレーター目線として言うと、観覧車は「憧れの存在」です。私がアルバイトで入った当時は、ベテランスタッフ だけが配置につける遊戯機だったので、自分も担当したい!って思ってたなあ。ようやく担当するようになってからも、「開園時に観覧車は止まってちゃいけない」って言われていたぐらい、お客様にとっても大事な存在だと思ってる。

Kさん:そうだね。観覧車って、従業員にとっても思い入れがあるし、お客様にとっても、一緒に来た家族や友達と時間を共有してきた思い出深い存在かもしれない。今回、ツイン観覧車という特別な取り組みで、従業員もお客様も、大観覧車ときちんとお別れできる時間が作れたのは嬉しいね。

Aさん:色んな思い入れがありすぎて、私最後の日には絶対泣いちゃうなあ(笑)。

チャレンジングな試みを支える、よみうりランドの連携力。

Kさん:ツイン観覧車の設置が決まってから、みんなは何が一番大変だった?

Tさん:もう、何から何まで大変でしたよ(笑)。例えば、工事に必要な仮設事務所の設置をしたり機材を置いたりするための、スペース確保の問題。通常だったら、新観覧車を作ってからすぐ古い観覧車を壊すから、新観覧車の設置に使った機材を、そのまま古い観覧車の解体に使うのがセオリー。今回はツイン観覧車として運営するから、新観覧車の工事に使った機材を一旦どこかに移動しなきゃいけない。じゃあそれをどこに持っていくか?っていう、いつもとは違うプランの設計が求められるんですよね。もう全部が試行錯誤。

Sさん:異例づくしですよね。普通のやり方が通用しない。

Kさん:工事で言うと、電気の問題もあったね。計画するのも大変なんだけど、現実問題、費用のことも考えなきゃならないし。

Tさん:本当に。いろいろな人の力を借りながら、協力してなんとか乗り越えられたなって気持ちがあります。ちゃんとオープンできる見通しが立って良かった(笑)。

Aさん:オペレーターの立場で言うと、Sky-Go-LANDがオープンしてからが正念場かな(※インタビュー時はSky-Go-LANDオープン前)。毎年10月から約半年間、よみうりランドの冬の風物詩にもなっているイルミネーションイベントの「ジュエルミネーション」が開催されるじゃないですか。遊園地全体を彩る光がとっても綺麗なので、ジュエルミネーションの時期 は、ただでさえ観覧車が混むんです。いつも数時間待ちになるぐらいすごく人が並ぶのに、それが2台分も、どうしよう!?って。いっぱい人が来てくれるのはもちろんとても嬉しいし、思う存分楽しんでほしい。だからこそ、どこに列を作ろう、どうオペレーションをしたら効率よく回して快適に楽しんでもらえるかな、って今も考えていますね。

Kさん:本当にそうだなあ。Sky-Go-LANDを作るまでも大変だったけど、作った後も、安全と楽しさを両立していくために、色々な努力と工夫をしていかなきゃいけないよね。さっきも「いい子」って話に出ていたけど、大観覧車は大きな機械トラブルさえなく今日まで営業し続けられた。それは日々のメンテナンスと積極的な工夫のおかげなんだよね。だから、Sky-Go-LANDでもそれを続けていきたいなと思っています。

Aさん:そうですね。あとは、よみうりランドの連携力も結構大事なポイントかも。

Tさん:確かに。観覧車に限らず、よみうりランドの遊戯機が滞りなく営業できているのは、オペレーターたち現場対応を含む運営側と、中で機械の調整をするメンテナンス側がきちんと連携できているからですもんね。運営側からの要望があれば、メンテナンス側で機械の改善をしたり、運営側が機械の異常を感じれば、迅速にメンテナンスに入ったり。

Aさん:機械の異常を察知した時は、私たちオペレーターも急いでアナウンスの準備を始めますし。全ての作業がつながっていて、しっかり連携できているから、お客様に安全と楽しさを提供できているんだと思います。

Sさん:だから、ツイン観覧車という異例の営業は絶対に大変なんだけれど、いつも通り、堅実なメンテナンスと連携を続けていけば、ちゃんと乗り越えられるだろうなという自信みたいなものはありますね。

Kさん:そうだね。今の話を聞いていて、うちはそれぞれの分野でそれぞれのプロフェッショナルが力を発揮しながら、みんなが同じ屋根の下で息を合わせて連携しているから、安全をしっかり維持しつつ、お客様の望むものが提供できているんだろうなって思ったよ。

Sさん:前例がない挑戦もスムーズに連携して乗り切れるのは、よみうりランドのみんなが「お客様を楽しませたい!」という気持ちを共有しているからかもしれないですね。

みんなが一緒に楽しめる遊園地をずっと。
ツイン観覧車に込められた従業員たちの想い。

Kさん:お客様には、Sky-Go-LANDをどう楽しんでほしい?

Tさん:Sky-Go-LANDは大観覧車よりも窓が広くなって景色が見やすくなったし、ゴンドラ内に冷暖房が完備されたから、真夏も真冬も快適に乗れるようになりましたね。あらゆる面がパワーアップして、より楽しみの幅が広がったんじゃないかと思います。

Aさん:ゴンドラの中が広くなったから、今度は車いすのお客様にも楽しんでいただきたいですね。前の大観覧車は40年以上前に作られたものだったから、車いすのお客様を案内できず、悔しい想いをしたことがあって。Sky-Go-LANDは広くて車いすも乗れるって聞いた時、すごく嬉しかったな。今までよりさらに、「みんなが一緒に楽しめる」よみうりランドになったなって。

Tさん:確かに。世代を問わず、幅広い人たちが一緒に遊べるのがよみうりランドのいいところだと私も思います。じゃあ、「ツイン観覧車」だからこそ!の楽しみ方はありますか?私は、昼間は大観覧車で富士山とかの風景を、夜はSky-Go-LANDで新宿とかの夜景を眺めるなんて楽しみ方もいいんじゃないかなと思います。

Sさん:私は、一緒に来た家族や友達と、それぞれの観覧車に乗って、メッセージを伝え合うなんてゲームもできたら面白いなと思っています。まだ試したことはないのですが…(笑)。

Aさん:私のおすすめはやっぱり夜でしょうか。ジュエルミネーションが開催中なので。光に包まれた2つの観覧車が並ぶ「60thデュアル・グランオブジェ」はさぞ綺麗だろうな!と今から楽しみです。

Kさん:Sky-Go-LANDから大観覧車の光を見たら、さらに面白いかもしれないですね。観覧車のイルミネーションを下から見上げるんじゃなくて、同じ高さで見るなんて体験は今だけだから。

Tさん:幻想的な光に包まれながら、すぐそばで大観覧車を眺められたら、大観覧車にたくさんの思い出があるお客様たちにも最高の見納めをしていただけそうですね。子どもの頃によみうりランドに来ていた方も、現在通ってくださっている方も、たくさん来てくれたら嬉しいなあ。

Kさん:僕らが入社した頃からある大観覧車の終わりは寂しいけど、無事にここまでくることができたのは、誇らしくもあるよね。これだけの長い間、無事故で大観覧車が営業できたというのは、よみうりランドの中でお客様に楽しんでもらうための創意工夫と連携が、40年受け継がれてきたということだなとしみじみ思います。これからも、誠実に安全と遊びに向き合いながら、みんなが楽しめるよみうりランドを守っていきたいね。

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